Naturalに生きる -Salana’s interest diary-

心理学のことを中心に日々気になった記事や本、ニュースなどを紹介しつつ私の近状などを綴っていきます。

万引き家族※ネタバレ注意

先日万引き家族を観てきました。

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社会の闇を明るく描いてくれている映画で、

人生とはこんなものだと言っているような映画だと思いました。

もちろん題材は重いと感じる方は多いと思います。

目を背けたく、この映画はいまいちだと言う人たちもいます。

 

虐待、ネグレクト、貧困、誘拐、万引き、車上荒らし、夜の仕事、人を騙す、脅し、家出、殺人、死体遺棄不妊

人間の闇を、日本社会の闇を一挙に集めたような話でした。

でも私のイメージでは、こういことはもっと暗くて目も当てられないような状況だと思っていました。

でも違うんだ、

社会の闇に巻き込まれた人たちも、

他の人たちとおんなじように、

辛い日常でも毎日少しずつ楽しいことを見つけて楽しんでいるんだって。

晩ご飯を一緒に食べて、お風呂に一緒に入って、カフェに甘いものを食べに行って、服を買いに行って(?)、花火を見て(?)、海に出かけて。

 

私にはこの映画に出てきたような

社会の闇を体験をしたことがある友人が何人かいます。

確かに、彼らと普段接してて、

彼らが話を打ち明けてくれるまで、

どこか影がある人だなとは思っていても、

虐待などを体験してるとは思っていませんでした。

彼らだって普通に楽しく笑ってる。

それを映像でも観て、やっぱりそうなんだとより実感しました。

もちろん、ふっとしたときに、その闇の影響は出てきます。

そんな時に支えてあげられたらなと思います。

 

 

この映画を観て他にも思ったのが、

本当に支えてあげられるのは同じような悲しみを知っている人だけなのではないか。

冬の空の下、家の前に出された凛を見て、

かわいそうに思ったお父さん(?)が彼女を自分たちの家(?)に連れて行ってご飯を食べさせてあげます。

もし、私があそこを通っても凛ちゃんを家に連れて来てご飯を食べさせてあげるんだろうか?

多分そこまで私なら気にとめないんだろうなと思いました。

でも彼は、凛がかわいそうでお腹を空かせていると思って家に連れて行ってあげるんです。

自分たちだって生活が大変なのに。

もちろんこれは映画ですが、人とはそういうものだと思います。

痛みを知ってるからこそ、その痛みを負った人の気持ちがわかる。

自分がそういう状況だからその状況の人に気づく。

私は幸運なことにこの映画に出て来たような闇に巻き込まれたことがありません。

詐欺っぽいのにあったことはありますけど、未だに詐欺だったのか違うのかよくわからないというそれほど深刻なものではありませんでした。

闇を知らない私は本当の意味で友人たちを支えられているのだろうかと。

話は聞くことはできるけど、本当の意味では痛みを和らげることはできないのだろうと思いました。

だから彼ら6人は”家族”なんだと思う。

 

 

闇から一歩離れた社会から見れば、

彼ら家族のやっていることは犯罪だらけです。

万引きに、誘拐、車上荒らし死体遺棄

でも凛は誘拐のおかげで、前より幸せな生活を手に入れて、車上荒らしのおかげで、祥太は熱中症で死んでたかもしれない命を救われた。死体遺棄をしなかったらその場で”家族”がバラバラになってしまうから、みんなが一緒にいるために死体遺棄をした。

これを一言で犯罪だから悪いことと片付けられるのかな?

きっと世間でニュースで取り上げられているものにはこういうものもあるのではと思うと、犯罪を犯した人がみんながみんな悪い人なのかな?と思わずにはいられなかった。

彼らは社会の闇の被害者なんだと思う。

 

 

そして映画の最後はみんなバラバラになるのですが、

そこには誰一人としての笑顔はありませんでした。

もちろん社会的には彼らが集まって”家族”だったことがおかしいのですが、

じゃあ家族ってなに?

血が繋がってれば家族なの?

あんなに一緒にいて幸せそうだった”家族”をバラバラにさせてしまう社会ってなんなんだろう。

なにが善でなにが悪か全くわからなくなりました。

 

 

観終わって、

私は普段心理学を勉強していて、

日常的に社会の、

人間の闇に触れざるおえないせいや

友人がいるおかげで、

こういった話に割と耐性があるのでさらっと受け入れられた感じはあります。

両親と観に行っていたんですけど、母は盛りだくさんすぎて疲れたと言っていました。

確かにそうなのかもしれません。

いくら楽しそうに描いても重いし暗い。

でも私は目を背けないでほしいです。

実際に万引き家族のように大変な状況に置かれている人だっているんです。

周りにいないんじゃない、きっと見えていないだけなんだと私は言いたいです。

私に社会の闇に巻き込まれてしまっていると打ち明けてくれた友人達は、ほとんどが他の人には打ち明けていません。

共通の友達に「虐待にあったことある友達いる?」と聞いても「いないと思う。少なくとも私は知らない」そう回答していました。

見えていない。

本人達はただでさえ大変なのだからこれ以上がんばって他の人に話した方がいいとは言えません。

だから社会のみんなが闇は自分の近くで起こっていることをまず知ってほしいです。